「経済安全保障重要技術育成プログラム/高出力・高効率なパワーデバイス/高周波デバイス向け材料技術開発」に採択
－ β-Ga2O3ウエハ、パワーデバイス及びパワーモジュールの開発 －
株式会社ノベルクリスタルテクノロジー(所在地：埼玉県狭山市、代表取締役社長：倉又朗人)は、内閣府、文部科学省及び経済産業省が中心となって推進する「経済安全保障重要技術育成プログラム（K Program）」の一環として、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術開発機構(以下、NEDO)が公募した「高出力・高効率なパワーデバイス/高周波デバイス向け材料技術開発」において、三菱電機株式会社(東京都千代田区)および一般財団法人ファインセラミックスセンター(愛知県名古屋市)とともに応募し採択されました。
K Programでは、経済安全保障推進会議及び統合イノベーション戦略推進会議の下、内閣府、文部科学省及び経済産業省が中心となって、府省横断的に、経済安全保障上重要な先端技術の研究開発を推進します。中長期的に我が国が国際社会において確固たる地位を確保し続ける上で不可欠な要素となる先端的な重要技術について、科学技術の多義性を踏まえ、民生利用のみならず公的利用につながる研究開発及びその成果の活用を推進するものです。
β-Ga2O3ウエハやバルク結晶の外観写真
本事業の背景
電気自動車や再生可能エネルギーの普及、次世代情報通信網の実現が求められる中、高出力で動作し、かつ省エネ・高効率な電気制御が可能なパワーデバイス*1の実現が喫緊の課題となっています。β型酸化ガリウム(β-Ga2O3)*2は、パワーデバイスの性能指標であるバリガ性能指数*3が従来のシリコン(Si)半導体よりも圧倒的に高く、近年注目されている炭化ケイ素(SiC)*4超えることから、他の材料を上回る超低損失パワーデバイスの実現が期待されています。
我が国はこの材料分野において最先端でありますが、β-Ga2O3のポテンシャルは未だ完全に発揮できておらず、かつ生産性に優れたβ-Ga2O3ウエハ・デバイスの実現には至っておりません。
本事業の内容
本事業では、関連企業や学術機関と連携し、β-Ga2O3ウエハ、パワーデバイス及びパワーモジュールの開発に取り組んでいきます。株式会社ノベルクリスタルテクノロジーは、6インチ高品質β-Ga2O3ウエハ作製用の低コスト結晶育成技術及び、低欠陥密度かつ高スループットの6インチホモエピタキシャル成長技術*5の開発に取り組みます。また、三菱電機株式会社と連携し、3.3 kV以上でSiCの2分の1以下のオン抵抗の高耐圧β-Ga2O3トランジスタの開発に取り組みます。三菱電機株式会社は、β-Ga2O3トランジスタ素子を複数並列配置したパワーモジュール*6の開発にも取り組みます。一般財団法人ファインセラミックスセンターは非破壊かつ高速での6インチβ-Ga2O3ウエハ全面欠陥検査技術の構築に取り組みます。
本事業の意義
本事業の達成により、今後もその高い技術水準の維持に貢献することを目指します。また、本事業により得られる、大口径・高品質β-Ga2O3ウエハ、高性能パワーデバイス及びパワーモジュールを活用し、高電圧化での高出力動作が要求される再生エネルギー関連設備などの電力インフラにおいて、将来予測される電力需要増加への対応や電力設備の分散、CO2排出量の削減を更に加速させることで、カーボンニュートラル実現に貢献します。
事業期間（予定）
2024年度から2028年度までの5年間
事業予算
45億円(上限)
事業に関する詳細
内閣府 「経済安全保障重要技術育成プログラム」
https://www8.cao.go.jp/cstp/anzen_anshin/kprogram.html
NEDO 「経済安全保障重要技術育成プログラム/高出力・高効率なパワーデバイス/高周波デバイス向け材料技術開発」に係る実施体制の決定について
https://www.nedo.go.jp/koubo/IT3_100313.html
注釈
*1 パワーデバイス
高電圧、高電流を制御することが可能な半導体デバイスのこと。インバーターなどの電力変換機器に使用される。
*2 β型酸化ガリウム(β-Ga2O3)
ガリウムと酸素の化合物で、ワイドギャップ半導体の一つ。
*3 バリガ性能指数
電子移動度、誘電率、絶縁破壊電界強度といった材料の物性値を基に、パワー半導体材料としての適性を指標化したもの。
*4 炭化ケイ素(SiC)
ケイ素と炭素の化合物で、ワイドギャップ半導体の一つ。
*5 ホモエピタキシャル成長
下地基板と同じ物質を基板と同じ原子配列で結晶成長させること。
*6 パワーモジュール
複数個のパワーデバイスを組み合わせて1パッケージ化した製品。
プレスリリースに関するお問い合わせ先
株式会社ノベルクリスタルテクノロジー
第一研究部
担当：成川
mi.narikawa＊novelcrystal.co.jp
※「＊」は「＠」に置き換え願います。